映画「ぼんち」

 10月16日(日)
 山崎豊子氏の小説「ぼんち」は、船場の足袋問屋の旦那が商いに障りのない範囲で女遍歴を重ねる物語でしたが、いかんせん戦前の話が大半なので、情景を思い浮かべにくい。
 9月の下旬、たまたま立ち寄った大阪市中央公会堂で、「ぼんち」など文芸映画の上映会の案内を手にし、泊まり明けで睡眠不足ながら天王寺公園映像館へ直行。正しくは優秀映画鑑賞事業というイベントで、各都道府県で来年3月まで行われています。
 映画「ぼんち」は1960年に製作され、監督・市川昆、主演・市川雷蔵。妻役の中村玉緒のほか、遍歴を重ねた女性たちが京マチ子、若尾文子、越路吹雪、草笛光子と、超豪華キャスト。今じゃ亡くなってたりおばあちゃんだったりしますが、45年前だから皆さん、実に美しいこと。
 昭和35年当時での回想という形をとっていますが、冒頭で「船場はなくなってしもうた」と主人公がつぶやくほどだから、高度成長が始まった頃には往年の船場の雰囲気は失われていたんでしょう。ただ、女性陣の着物や帯の美しさは素人目にもよくわかり、当時はいいものがふんだんにあったのがよくわかります。
 上映後に在阪の映画評論家、武部好伸氏のトークショーがあり、「ぼんち」の撮影中、太秦を訪れた山崎氏が「原作と大きく異なっており、製作を中止してほしい」と市川監督に強く申し入れたエピソードを紹介してくれました。結局はうやむやになったとのことですが、今回見た限り、7割がた原作は生かされていると思います。回想段階で主人公が没落しており、「ぼんちにはなりきれなかった人」と評されたこと(いずれも原作にはない話)が、山崎氏には気に食わなかったのでしょうか。
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 暑い西日を受ける天王寺公園の噴水前。大阪の夏日もそろそろ終わりかな。
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by maruyamamasaki | 2005-10-17 11:49 | 関西の小説と映画


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