「女系家族」

 3月27日(月)
 うろ覚えの話ながら、ドラフトで江川卓投手(法大)を指名しながら入団拒否されたクラウンライターライオンズのオーナーは、交渉権切れが迫った頃、契約金として2億円の小切手を懐に江川投手の父と会った。しかし「長嶋が入団した時の契約金1800万円は、今なら3億円に相当する。2億円では応じられない」と断られたとのこと。
 もはや27年も前の古い話ですが、長嶋選手が入団した1957(昭和32)年と1978(昭和53)年の物価等(国鉄初乗り運賃、ラーメン代、大卒初任給、日本ダービーの賞金など)を比べると、江川投手の父の発言は概ね妥当な比較だったようです。
 逆に言えば、昭和32年頃の1800万円はいかに高額だったかがわかろうかというもの。それだけに、山崎豊子氏の「女系家族 上・下」(新潮文庫)を読んだら、ぶったまげましたねぇ。大阪・船場にあった木綿問屋の3姉妹の遺産相続額が、一人当たり1億円以上というんですから。
 昭和34年頃という設定なので、長嶋選手の契約金と貨幣価値はほぼ同じでしょう。すると、この当時の1億円は、「空白の一日事件」の頃に換算すれば16億円以上になります。この27年間の物価上昇率を考慮すると、現在ではいくらになるのやら。
 「ジャンボ宝くじで3億円当たったら、家のローンを完済しても一生食っていくのに困らない額が残るから、嫌な上司と大げんかしようが恐いものなしだぜ」と、スケールの小さな夢しか思いつかない僕には、船場の老舗問屋の富裕ぶりは想像の域を超えています。
 物語は、この3姉妹がそれぞれ「他の2人よりびた一文たりとも損をしたくない」と相続話がこじれることを柱に展開するのですが、金持ちってのはここまで強欲なんですかねぇ。強欲であればこそ、金持ちになれるのか。フィクションを真に受け過ぎるのはいい加減にするとしても、中身は抜群に面白く、宮部みゆきさんの「火車」と同じような読後感です。
 船場の隆盛ぶりは、このような理由(船場フォーラム-東京・京都・横浜と連携)で今ではあまり感じようがないのが残念です。
a0010524_18344518.jpg
 小説の描写からすると、船場の「矢島商店」ってこんな雰囲気なんでしょうか?(この建物は、道修町にある登録文化財・旧小西儀助商店)
[PR]
by maruyamamasaki | 2005-03-28 18:48 | 関西の小説と映画


<< 甲子園 女性の進出 >>