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「仏果を得ず」三浦しをん

 今思い起こしても、2年間の大阪暮らしで最も後悔していることの一つは、国立文楽劇場で文楽を観なかったこと。在阪当時なら、不世出の人形遣いとされた吉田玉男と吉田蓑助のコンビを観る機会だってあったはずだし…。「いつでも行けるし」と暢気に構えるうちに、機会を逸してしまったのは、返す返すも悔しいことです。
 最近、双葉社文庫から出た「仏果を得ず」は、文楽の役どころの中でも義太夫語りに打ち込む若手太夫を主役に据えた青春小説です。数ある名作をちりばめた物語の展開も見事というほかないのですが、それよりも何よりも、大阪に住んだことのない作者が、大阪の空気を実にきっちりと捕らえているのが驚きでした。
 三浦しをん、只者じゃありません。20代で直木賞に輝いた数少ない作家だけのことはあります。
 それと、僕はイヤホンガイドの愛用者ですが、たまには全くなしで直観的に楽しむ方が、特に太夫の語りや三味線の味わいを知るにはいいのかもしれません。そう思わせられた小説です。
9月にはエッセー「あやつられ文楽鑑賞」も双葉社文庫から出版されるそうですが、待ち遠しい気がします。といっても数日のことですけどね。
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by maruyamamasaki | 2011-08-30 23:09 | 関西の小説と映画