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浅田次郎「輪違屋糸里」

 4月25日(水)
 先月、文庫化したのを待って、ようやく読了。単行本で出版されたのは3年前の今頃、上方暮らしが面白くてたまらず。出向期間を1年延ばそうと決心した時期でした。
 京都・島原に、「輪違屋」という今も続く置屋があるのを知ったのは、その1か月ほど前のこと。その名を冠した小説ですから、出版当時にすぐ読まない手はありませんでした。
 あえてそれをしなかったのは、浅田次郎氏の小説は泣かされるのがわかっていたから。直木賞を受ける前だったか、本人が「泣かせようと思って書いている」と言ってるのを読んだことがあります。確かに、読むと泣かされるのだけど、泣かせるために書いた小説なんて、一時の快を得る以外に何の意味がある? とりわけ歴史小説のような半フィクションでは、泣くよりも、描かれる人物像や事件の解釈こそが読みどころのはず。
 である以上、「輪違屋糸里」は歴史小説として一定の評価が固まってから読めばいいと、3年前の僕は思ったのです。決してお金をケチった訳では、ね。
 しかし、やはり上方の空気の中で読めばよかったかと、いささか後悔気味です。3年前はNHKで「新選組!」が放映されており、突飛な設定こそあれ、個々の人物像の描き方は至ってオーソドックスだった三谷幸喜「新選組!」と、斬新的な人物解釈をした浅田「新選組」の対比を楽しめたはずだし。
 この文春文庫版で特によかったのは、末國善己氏による「解説」。歴史小説としての意義付けから、クライマックスを前に物語りに夢中になる辺りで張られていた伏線の指摘など、読後、大いに頷かされる点がいくつもありました。小説の解説としては出色だと思います。
 秋にはTBS系でドラマ化ですか。「新選組!」にハマり役が多かった(その前のドラマと映画の「壬生義士伝」もそうですが)だけに、主演の上戸彩も土方歳三役の伊藤英明も、これら直近作のイメージ打破は大変かもしれません。しかし、「海猿」でNHKドラマの国分太一とは別の主役イメージを確立した伊藤英明のことですから、ここも山本耕史とは違った土方を見せてくれるのを期待したいものです。
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 現在も営業している輪違屋(2004年3月撮影)。文庫下巻収録の浅田氏と輪違屋のご主人の対談も興味深い
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by maruyamamasaki | 2007-04-25 20:51 | 関西の小説と映画

NHKスペシャル「トリアージ 救命の優先順位」

 4月23日(月)
 先ほど見終わったばかりのNHKスペシャル「トリアージ 救命の優先順位」。久しぶりに食い入るように見てしまったのでした。
 まもなく発生から2年になるJR福知山線事故現場で、医師たちが行ったトリアージの実態と、浮かび上がった様々な課題を取り上げた番組です。
 あの日、僕は夕方からの勤務で、事故の一報は時事通信社の携帯メールで知りました。まだ天六の自室にいたのか、梅田茶屋町のエグザスに向かう途中だったか、その辺りの記憶は既にあやふやです。
 「負傷者が多数出ているもよう」とあり、大変な事故みたいだなと思ったものですが、想像を遥かに超える惨事だったのは言うまでもありません。
 その現場で、医師や看護師たちが負傷者たちの搬送優先順位を、一人30秒で決めなければならなかったとは。訓練の時でさえ、満足な結果からはほど遠い成績になってしまうチームが出るのを見ると、あの現場に直面した医師たちの重圧たるや、どれほどだったのか。「蘇生の見込みなし」の黒タッグを付けられた人の遺族の無念さ、付けたかもしれない医師との対面など、見ていて胸を締め付けられるような思い。恥ずかしながら、たった2年ですっかり風化してしまったあの日の記憶が、いっぺんに蘇らせられました。
 26日午前0時10分から再放送(関東地方)します。今回は録画しそこなったので、即予約。
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 夕日を透かして見た紅枝垂れ桜の花(@平安神宮東神苑)
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by maruyamamasaki | 2007-04-23 23:59 | 兵庫県