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「櫻守」

 8月29日(月)
 関西の人のおしゃべりを聞いていると、「わかる?」「わかるか?」と、いちいち確かめるのをよく耳にします。東日本ではまずないと言ってもいい、会話上の習癖でしょう。
 当地へ来たばかりの頃は、この手の人と話すと、「わかる?」が飛び出す度に「くどいなあ」と思ったものです。慣れたせいもあるけど、今ではこの「わかる?」は文字通りの確認質問ではなく、話し続けるうえで間を取るというか、調子を整えるために言ってるのでは、と感じています。
 昨日、電車の中で読み終えた水上勉氏の「櫻守」(新潮文庫)は、桜を愛した庭師の生涯を描いた物語。ソメイヨシノ偏重主義は日本の桜本来のありようではないことや、「人の手の入らない自然保護はありえない」といった考えを、30年以上前に示していたのは、ソメイヨシノ一色の桜山に何の疑問も持っていなかった僕にしてみれば、驚きではあります。
 それはともかく、この小説の中には庭師同士の会話などで「わかるか」が、ちょくちょく出てきます。「細雪」には「わかる?」は、ほとんど出て来なかったと思います。この違いは、「細雪」の会話は大半が女性同士であるせいではなく、関東人の谷崎潤一郎には使いこなしきれなかったけれども、関西弁で生まれ育った水上勉は生かせたのではないかと思うのですが、考え過ぎかな。
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 うちから見た今日の日暮れ。まだまだ暑いけど雲は秋っぽくなってきました。
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by maruyamamasaki | 2005-08-29 21:36 | 関西の小説と映画

須田剋太が描いた「街道をゆく」

a0010524_1722034.jpg 8月28日(日)
 今年1月から、朝日新聞社が司馬遼太郎氏の「街道をゆく」を基にした週刊ビジュアルシリーズを発売し、何となく購読しています。「街道をゆく」は週刊朝日での連載中もあまり読んでいませんが、須田剋太氏の挿絵は割と印象に残っていました。
 大阪府河南町の「近つ飛鳥博物館」で表題の展覧会が開かれており、今日が最終日なので見に行ってみました。
 最寄りの近鉄・喜志駅からのバスはほぼ1時間に1本しかなく、博物館HP内のバス時刻表を調べて12時半前に同駅到着。5分の待ち合わせでバスに乗り、終点から10分弱歩いてようやく博物館にたどり着く。
 大阪南部・奈良・和歌山で取り上げられた八つの街道・みちで使われた91点を展示。他の来館者はほとんどなく、一人でじっくり見学させていただきました。描かれていた場所で、実際に行ったことのある所が一つもなく、実感が湧かないうらみはあったものの、須田氏のタッチはこれらの地域によく残っていた古い町並みを描くのが最も合っていた気がします。
 9月2日からは、大阪市・中之島図書館で「愛蘭土紀行」の挿絵90点の展示が始まります。こちらも楽しみ。
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by maruyamamasaki | 2005-08-28 18:07 | 大阪府

船場大阪を語る会

a0010524_991695.jpg 8月27日(土)
 INAXギャラリーの展覧会見学を勧めてくれたM氏ご夫妻と、大阪ガスビル近くの御霊神社で開かれた「船場大阪を語る会」肥田皓三先生の講演会を聴きに行った。
 「船場東半分の文芸」をテーマに、肥田先生は休憩を挟んで約3時間、文芸にかかわる約60人+いくつかの団体を立て続けに論評。北の土佐堀川から南の長堀川までの船場地区、町名が東西に広がっている特徴を生かして、北の町から順番にそこで生まれた人、活躍した人というユニークな分け方で語ってくれました。
 取り上げた約60人のうち、知っていた名前は上野精一(朝日新聞社主)、牧村史陽(郷土史家)ほか数人ぐらい。それが肥田先生の手にかかると、「こんなにすごい業績のある人が、まだ埋もれていたのか」と思わずにはいられません。多くの人の著書を示しながらのお話で、あれだけの蔵書に目を通してらっしゃる肥田先生ならではの語りには圧倒されました。
 「船場大阪を語る会」は数か月ごとにこうした例会を開いているそうですが、170人も参加したのは初めてとのこと。表立っての宣伝がないのに、これだけの人が集まるのは、肥田先生が「知る人ぞ知る」という存在故でしょう。僕みたいな飛び入りでも聴かせてもらえたのは嬉しい限りです。
 ただ、会場内で最も若かったのがたぶんM氏ご夫妻で、その次が僕ではなかろうかという雰囲気でした。大阪の中の大阪だった時代を懐かしむばかりではなく、よき伝統を残していけるような発展や広がりを望まずにいられません。
 (ケータイのカメラなので、色合いが実際とはだいぶ違っています)
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by maruyamamasaki | 2005-08-28 10:23 | 大阪市

灯台下暗し

 8月24日(水)
 泊まり勤務が明けて帰宅した後、気が向いて近所の「大阪くらしの今昔館」へ。9月4日まで、特別展「大阪近代住宅ものがたり」が開かれています。
 「今昔館」は、それこそ来阪して最初の泊まり勤務明けに寄って以来、今回まで4回ぐらいは来たと思いますが、当ブログに登場するのは初めて。1830年代の大坂の町並みを再現した空間や、近代以降の住宅や団地などの精密な模型などが展示されており、ナレーターは桂米朝、八千草薫と、結構凝っています。
 特別展は、大阪郊外に広がっていった金持ち、サラリーマン住宅の発展ぶりなどを、写真や設計図を中心に紹介。個人的には、神戸・御影にあった朝日新聞創業者・村山龍平邸なんかが興味深かったです。
 一通り見終わった後、パンフレット等が置いてあるコーナーで、大阪市立大学大学院の町家に関する公開講座の案内を発見。日曜日の午前中に開かれるようなので、早速申し込むべく、同じ建物の4階にある市立住まい情報センターへ行った。
 いかに大阪が気に入ったとはいえ、あくまで仮住まいの身だけに、このセンターに来たことはなかったのですが、灯台下暗し。併設されているライブラリーをのぞいてみたら、大阪本の宝庫だったのです。市立図書館だってそこそこ揃ってはいるけど、よもや自宅から徒歩2分程度の所にこんな施設があったとは。せめて1年前には気づいていたかった。
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 戦後の住宅不足の時代、バスを建物代わりに並べた城北公園・「バス住宅」の模型
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by maruyamamasaki | 2005-08-24 16:37 | 大阪市

幻の高槻城

 8月22日(月)
 8月最後の連休、ともかくもどっか行きたい。観光としてはだいぶスケールが落ちるけど、高槻市の「祥風苑」で温泉気分に浸ることに。高槻駅前発の無料送迎バスが出るまで時間があったので、高山右近の居城だった高槻城跡でも巡ってヒマをつぶす。
 もっとも、今では高槻城の遺構はほとんど残っていません。城の石垣は明治時代、鉄道の敷石として使い尽くされ、堀は埋められています。高槻城跡公園というのが出来ていますけど、旧城郭とは全く無関係な石垣と水堀が形ばかりに作られただけ。こういう例は、珍しい気がします。旧家を利用した歴史民俗資料館などもありますが、月曜休館で見られず。
 午後3時過ぎに「祥風苑」へ到着。並のスーパー銭湯と違って本物のアルカリ重曹温泉だけに、入っている時は特有のヌメリ感があり、上がって少し風に当たるとサッと乾く。
 でも、夏の真っ昼間の温泉は、やはり熱かった。来るなら夕方か夜かな。
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 石垣も本物の石じゃなくてハリボテ。偽物もここまで徹すれば大したもの(高槻城跡公園)
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by maruyamamasaki | 2005-08-22 21:47 | 大阪府

特別展「龍馬の翔けた時代」

 8月21日(日)
 今年が坂本龍馬の生誕170年となるのを記念して、京都国立博物館で開催中(今月28日まで)の特別展覧会「龍馬の翔けた時代」を見学。
 龍馬の書いた手紙は130通ほど現存しているそうです。その半数近い60余通を展示するのはまたとない機会とのこと。司馬遼太郎「竜馬がゆく」でも度々触れられている乙女姉さんなどへの手紙の実物を見られるのは、ちょっとした楽しみでもありました。
 しかしながら、昔の人の字なんて簡単に読めません。展示には読み下し文がついてますが、それを読み込んでしまう人も結構おり、館内は所々で渋滞状態でした。
 特に貴重なのは、いわゆる薩長同盟密約の中身を保証するため、立会人の龍馬が朱で裏書きしたという書状。これが現存しているとは知りませんでした。持っているのが宮内庁書陵部で通常は閲覧不可となると、存在自体が知られにくいし、次の公開がいつになるかもわかりません。ファンの方には必見でしょう。
 図録は2500円と少々高いのですが、写真付きの書簡資料としてはよさそうなので購入。有名な手紙を抜粋した京都国立博物館編の「坂本龍馬 その手紙のおもしろさ」(300円)も薄くて読みやすく、お薦めです。
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 夏休み期間中の日曜日の割には空いていました。手紙中心の展示で、地味な印象なのかも。
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by maruyamamasaki | 2005-08-21 19:06 | 京都市

えっ

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 8月19日(金)
 これを見て「相合傘とか、そーゆー間柄かい」と思った人は少なからずいたのでは。若いんだから、ポスターのセンスぐらいは磨いといてほしいもの。
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by maruyamamasaki | 2005-08-19 16:23 | 大阪市

肥田せんせぃのなにわ学展

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 8月18日(木)
 NIFTY Serveの生活文化フォーラムのSubsysであり、来阪してからも何かとお世話になっているM氏の強力なプッシュで、大阪での開催があす19日で終わる「肥田せんせぃのなにわ学展」を見に、午後4時過ぎから四ツ橋のINAXギャラリーへ。
 僕は迂闊にも全く知らずにいたのですが、元関西大教授の肥田晧三先生は「大阪の文化史を語る場合にさけて通れない?!」(M氏)存在とのこと。生粋の大阪人にして、幼少の頃より落語、歌舞伎、文楽、OSKなどに親しんだことから、上方芸能を追究してきたのと同時に、今となっては貴重な庶民文化の資料収集を続けてきました。展示は、大阪のいろはかるた、双六といった玩具から、OSKのポスター類、蔵書など。
 ちょっと驚いたのは、肥田先生の最終学歴は高校中退だった点。府立図書館などに勤めるかたわら独学で近世文学などの研究を進め、21年前、関大の図書館職員から一足飛びに教授に就いた時は、結構話題になったそうです。商家の番頭さんが勉強を続けて山片蟠桃となった懐徳堂の伝統に連なるような話です。
 この「せんせぃ」って表記には、えも言われぬ趣があります。関西の人が「先生」と言うと、僕の耳には「センセ」としか聴こえませんが、本当は微妙に「ィ」が入っているわけですな。
 誤解を恐れずに言えば、放送大学の面接授業などでも、当地の人たちは「センセ」に対して、「床の間へ据え置きにしない」というのか、「然るべき敬意を十分には払っていないのでは」といった印象を持たないでもありません。しかし、実際は庶民の中にあってこその学問であるが故に、肥田先生は「せんせぃ」という呼称にこだわったのかも、と勝手な想像を巡らせたのでした。
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by maruyamamasaki | 2005-08-18 22:01 | 大阪市

五山の送り火・鳥居形

 8月16日(火)
 京都・五山の送り火といえば、去年は「1か所で全部見える」という話だけを鵜呑みにして船岡山公園に行き、あやうく一つも見られず仕舞いになりかねなかったのを思い出す。苦い記憶をわざわざ思い出させてくれる人もいるが、俺様は寛容なので一杯おごってくれたら笑って忘れてしまうでしょう、たぶん。
 今回はオーソドックスに出町柳近辺で「大文字」と「法」を見るつもりでしたが、ここはいつかまた見る機会もあるはず。そこで、後に見る可能性の少なそうな「鳥居形」を見ようと、嵐山・中ノ島公園に出かけた。
 ここは桂川で灯籠流しもやっているし、実は「大文字」も見えるとの話です。やはり、僕のような在住期間の限られた人間は、欲をかいて効率よく見ないと、ね。
 期待通り、「大文字」も遠いながらよく見えた。それにしても、嵐山から東山までこんなに開けているとは驚きです。
 メーンの鳥居形と灯籠流しは、対岸に建物があるため、一度に両方を見るのは難しそう。しかし、去年の船岡山でもそうだったように、結構、見物に来た人たちは移動するから、灯籠流しに決め打ちして川岸ぎりぎりで待つことに。
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 鳥居形に火が灯った頃には、灯籠流しはほぼ終りかけており、描いていた構図とは大違いの写真に。上の方にちょっと見えるのが鳥居形です。
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 もっとも、少し歩けば、鳥居形のほぼ全貌(=写真)が見える場所も見つかり、今回はまず満足な結果でした。
 意外なことに、桂川にも煙が漂うほど流れてきました。これじゃ、嵯峨野辺りに住んでいたら大変だ。送り火を灯す山の麓に住む人は、観光客の知らない苦労に耐えているんでしょうね。
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by maruyamamasaki | 2005-08-17 00:54 | 京都市

春日大社・中元万燈籠

a0010524_0355868.jpg 8月15日(月)
 今日から短い夏休み。毎度のことながら、連休に何かしようとかどこへ行こうとか、事前に計画することがなく、当日になってからどうするのか慌てて考える。まして、夜中働いて午前3時過ぎに帰宅したその日から休みと言われたって、午前中から出かけるのは無理だし・・・。
 でも昨晩、NHKのニュースで奈良・春日大社の中元万燈籠が今日までやっているのを聞いて、「これだ!」と思ったのです。出かけるのは夕方からでOKだし、おまけにあまり暑くないし。
 800年前から行われているこの行事は、長きにわたって奉納されてきた3000基の燈籠に、様々な願いや祈りを込めて浄火を灯す神事とのこと。釣燈籠の灯りが朱塗りの社殿に映える様子は、なかなか幻想的で、「日本の美」って感じでした。
 この日は高円山で大文字送り火、東大寺でも万燈供養会もあったのですが、午後8時過ぎから雨脚が強くなってきたので、送り火をしばらく眺めて退散。
(釣燈籠の色々な模様が幽玄な雰囲気を醸し出していた=三脚使用禁止で手持ち撮影)
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by maruyamamasaki | 2005-08-16 01:12 | 奈良県