人気ブログランキング | 話題のタグを見る

京都御所障壁画展

 2月4日(日)
 大阪で暮らした2年で、春秋にある京都御所の一般公開には、最後の年の秋以外、毎回出かけました。皇室への尊崇が厚いわけではなく、普段見られない所を見せてもらえるのが好きなだけです。一般公開じゃなくたって申し込めば見せてくれますけど、建物は(民家で言うところの)雨戸が全部閉まっていて、あまり面白くないとのこと。
 一般公開の時は、建物の説明のほか、人形を使ったテーマ展示なども行っていて、なかなか興味深いものです。人込みを物ともせずに写真を撮りまくりましたが、どうしてもわからなかったのが襖絵。
京都御所障壁画展_a0010524_2312559.jpg
 2004年4月8日撮影。
京都御所障壁画展_a0010524_23143591.jpg
 2004年11月5日撮影。
 手を上に伸ばし、ピントが合ってるかどうかもわからずに撮ったものですが、撮れたところで、誰が描いた何という絵なのかは全くわかりませんでした。
 しかし、ついにその謎が解ける日が来たのです。京都国立博物館で開催中の新春特別展覧会「京都御所障壁画 御常御殿 御学問所」(2月18日まで)で、天皇が普段暮らした御常御殿と、学問の場などに使った御学問所の障壁画約200面を公開しています。
 何しろ初めての公開だし、次はいつのことかわからないとなると、見学しない手はありません。で、この2枚の写真がどんな絵なのかもようやくわかったのです。
 上の写真は、鶴沢探真筆「大禹戒酒防微図」。御常御殿中段の間の北面を飾っており、中国の夏の時代、皇帝の禹は献上された美酒に酔いながらも「このようなおいしい酒をほしいままに飲んでいては国を滅ぼす」と、この酒を造った儀狄という人を遠ざけた逸話を描いた。宮殿前の階段で酒瓶を持っているのが儀狄さんらしいです。
 下の写真も、鶴沢探真筆「四季花鳥図」。こちらは御常御殿二の間西面を飾っており、秋から冬にかけての様子を描いています。見ることはできませんが、向かって左側(=南面)の襖に、春から夏にかけての景色が描かれていたのです。
 図録を基にすれば、こういうことも書けるのですが、展示を見ただけではほとんどわからないのが、本展で感じた大いなる不満です。いろいろ制約があるのかもしれないけど、襖絵なんだから、襖としてはまっている状態の写真や、建物のどこにあるのかがわかる図示を、それぞれの絵の解説に付けてほしかった。
 そりゃ、一部のコーナーでそれらしき解説はあるけど、館内をだいぶ歩いた所でやっと見たって、最初の展示まで戻って確かめる人はいないし、いたら他の見学者には迷惑千万だろう。在阪当時に見た二条城の障壁画展の時も同じ問題があっただけに、改まっていないのはいかがなものかと思いました。
 とはいえ、幕末に近い時期の京都画壇の作品を一堂に見られるのは素晴らしいこと。さすがと言っては何ですが、色が褪せた様子はほとんどなかったし。
 恐れ多い事ながら、天皇陛下って本当に大変なんだなって、ため息が出ました。どこの部屋へ行っても、中国の故事などに基づく帝王学につながるお硬い絵ばかりじゃくたびれるでしょう。寝室の襖だってどの面を見ても虎の絵だらけ。野良犬に追いかけられて冷や汗をかく夢を見て、がばっと起きたら周りは虎だらけなんて生活、僕には絶対できません。
by maruyamamasaki | 2007-02-07 19:01 | 京都市


<< 大阪城梅林 北野天満宮節分祭 >>