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「道頓堀川」

「道頓堀川」_a0010524_1224955.jpg 8月14日(日)
 もともと小説をあまり読まないので、戦後生まれの作家となるとさっぱり・・・。村上春樹氏の作品さえほとんど手つかず。その割に数冊は読んだのは宮本輝氏で、今回も何となく手にしたのでした。
 昭和44年頃の話ながら、学園紛争も出てこなければ、大阪万博を控えた雰囲気もありません。時代背景に縛られる面が少なく、ストーリーを全くそのまま、今の話としても通じるんじゃないかと思えます。
 その理由として、日常と遠くない世界を描く氏の巧みさはもちろん、道頓堀界隈のイメージが固着化しているせいもあると思います。道頓堀といえば、戎橋とグリコのネオン(=写真)が思い浮かびますが、多少の違いはあっても風景の構成要素は30年来変わっていないとの印象が強い人は多いでしょう。
 そういう場所を舞台にした小説だけに、今でもちょっと探せば「リバー」という喫茶店が見つかり、賭けビリヤードに生きる男も歩いていそうな気がすると思うのです。
 話が変わりますが、見れば面白いのかもしれないけど、TBS系で放映中の「女系家族」を見る気がしないのは、舞台を東京に変えたせい。船場という独特の雰囲気抜きでは、原作の面白さが半減しているのでは。「大阪愛」を公言して止まない山崎豊子氏が、なぜこのような換骨奪胎を許したのか、腑に落ちないことです。
by maruyamamasaki | 2005-08-14 13:09 | 関西の小説と映画


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