人気ブログランキング | 話題のタグを見る

原爆忌前日の広島(2)

 8月5日(金)
 脚本家・早坂暁氏の代表作は、僕にとっては「天下御免」ですが、被爆二世の芸者を取り巻く物語「夢千代日記」を挙げる人の方がはるかに多いでしょう。
 午後1時過ぎに、広島県立総合体育館で開かれた「2005ヒロシマ虹のひろば」へ行ったのは、正直に言えば暑さしのぎが目当てでした。この会場入り口で、若者に手渡された「原爆の絵碑NEWS」の巻頭に、早坂氏の「核戦争にリアリズムを!」というメッセージがあったのです。「天下御免」ファンとしては読まずにいられません。
 要約すれば、「戦後60年、何十万回も『戦争反対』『核廃絶』が叫ばれながら、戦争が次々と起き、核保有国が増え続けたのは、戦争反対、核廃絶にリアリズムが欠けているからだ。原爆が落ちた時、ヒロシマの人間が、人間でなくなるような被害を受けたかを示す写真さえないのでは、原爆の恐ろしさは判らない。しかし、原爆の光と爆風を浴びた人々が、生き残って、わが目で見た核爆弾の爆裂を描いた絵は数千枚ある。この絵のリアリズムこそ、次なる核戦争から人間を救う、唯一のけわしいが細い一本の道であり、いくら無残でも、いくら残酷でも、ヒロシマにはそれを世界の人たちに見てもらう使命があると思う」といった内容でした。
 会場には、こうした絵の一部が展示されていました。率直に言って、目を背けたくなる絵ばかり。しかし、丸木夫妻の「原爆の図」とはまた違って、稚拙な筆致であるが故に潜む迫力や臨場感を強烈に放っている感じでした。
 「原爆の絵碑」とは、こうした被爆者の描いた絵を広島の街角に残していこうという活動で、すでに9個の絵碑が建立されたとのこと。くわしくはこちらで。
原爆忌前日の広島(2)_a0010524_0392598.jpg
 最高気温36度の炎暑の下、原爆慰霊碑前ではこども代表が「平和への誓い」のリハーサルを行っていた
by maruyamamasaki | 2005-08-06 00:39


<< 原爆忌前日の広島(3) 原爆忌前日の広島(1) >>