雄気堂々・渋沢家三代

 11月19日(金)
 しばらく前、天神橋筋商店街の小さな書店で平積みされていた城山三郎氏の「雄気堂々」(新潮文庫)を読んで、勢いがついたところで佐野眞一氏の「渋沢家三代」(文春新書)も読み終えました。
 この2作、読もう読もうと思いつつ、後回しにしたっきりでした。そもそものきっかけは、4年前の今頃、東京の「昭和のくらし博物館」で開かれた鮫島純子さん の原画展とトークです。鮫島さんがひょんなことから出版することになった「あのころ、今、これから…」(小学館)の考証を、同博物館の小泉和子館長に依頼したことから持ち上がったイベントでした。
 鮫島さんはこの本で、大正から昭和初期にかけての暮らしなどをほのぼのとした絵と軽妙なコメントを添えて記録しています。その原画を描いたのは、障子張りの残り紙などで、ともかく物を無駄にしない昔の生活が習い性になっている感じでした。トークでお会いした時、気さくで品のいい奥様だなあと思っていたら、実は「雄気堂々」の主人公・渋沢栄一のお孫さんとのこと。
 渋沢家の一族は毎月、会合があって、その場で栄一氏が各家の家計簿を点検したので無駄遣いはできなかったとか、家は大きくてお手伝いさんもいたけど、「子供のために雇っているのではない」と部屋の掃除や模様替えは自分でやったとか、我が国の資本主義の父たる栄一氏の家庭の実情についてのお話は、なかなか興味深い内容でした。
 その時、「渋沢家三代で、正しく伝えていただいた」といったことも話していたので、読んでみようかと思いつつ、4年もたってしまったのでした。
 2作とも、所々に鮫島さんの語ったエピソードを感じさせる場面が出てきますし、また鮫島さんのお人柄に、改めて「にこやかなる没落」を感じずにはいられません。
 朝日新聞の夕刊で吉村昭氏の連載小説「彰義隊」が始まり、いずれ栄一氏のいとこである渋沢喜作氏も登場するでしょう。吉村氏の重厚な筆致で、喜作がどのように描かれるのか楽しみです。
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      読書の秋も深まり、御堂筋の銀杏並木もだいぶ黄葉が進んできた
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by maruyamamasaki | 2004-11-19 12:09


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